鉄人おはぎ
左から、青木屋 三木 学 、株式会社博報堂プロダクツ 三浦 奈津実 氏、青木屋 多久島 治
右上 株式会社博報堂プロダクツ 横溝 孔太郎 氏

2024年11月23日、青木屋では新商品「鉄人おはぎ」を発表いたしました。この何とも斬新でインパクトのあるネーミングの商品は、130年を超える歴史を持つ青木屋と博報堂プロダクツの「ことばからの商品開発」プロジェクトの第一弾として誕生したものです。どのような経緯で協議が実現し、“ことば”からの発想が形となっていったのか。そして、「鉄人おはぎ」が持つ新たな価値とは何か。 今回のプロジェクトに携わった博報堂プロダクツのクリエイティブディレクター、横溝孔太郎さん、コピーライターの三浦奈津実さん、株式会社青木屋 代表の多久島治、社長補佐兼マーケティングアドバイザーの三木学の4人による座談会で、開発の舞台裏をご紹介します。


■ 互いの“挑戦”する気持ちが合致し、新しい和菓子の開発がスタート

鉄人おはぎ
株式会社博報堂プロダクツ 統合クリエイティブ事業本部 コピーライター 三浦 奈津実 氏


――今回の新商品開発の協業は、どのような経緯で実現したのでしょうか?

横溝: 私たち博報堂プロダクツのクリエイティブチームが、従来型の完成した商品にネーミングを開発しマーケティングを展開する手法ではなく、コンセプト先行で商品開発を行う「ことばからの商品開発」プロジェクトをスタートさせたのは、2021年のことでした。まだ始まったばかりで協業先も決まっていないときに、博報堂プロダクツ関係者の繋がりからご紹介いただいたのが、青木屋の多久島社長でした。初めて青木屋の皆さんにお会いする機会をいただいたのは、その年の6月のことだと思います。

多久島:そうでしたね。あの時は、私と三木のほか数人の社員とともにお話を聞かせていただきました。私自身、社長に就任して会社を承継して以来、古いだけの和菓子屋にはなりたくないという思いを抱いていました。何かチャレンジをして、新しい和菓子屋を目指したい。新たな和菓子の可能性を見出す機会になればと思い、お会いすることにしました。

横溝:青木屋さんは新しい取り組みに積極的でチャレンジ精神をお持ちの企業であり、それを推進しようとしている社長さんがいらっしゃると。そう伺っていましたので、弊社の新たなチャレンジに共感していただけるのではないかという期待を持って三浦と一緒に訪問させていただきました。

――最初の訪問時は、どのようなお話をされたのでしょうか?

横溝:最初は商品開発に関する考え方をお伝えしました。多少、具体的なアイデアも用意していましたが、そのまま形になるようなものではなく「例えば、こういう考え方はいかがでしょうか?」といったお話をするきっかけになるような資料を持参しました。

多久島:お話を伺って、非常に面白いというのが率直な感想でした。その場に同席していた複数の社員も、全員があとで「こういう発想は、うちにはないよね」と口にするほどで、驚きのようなものがあったと記憶しています。その時点では実際に商品を作れるかどうかまでの判断はできませんでしたが、新たな挑戦に一緒に取り組ませていただくことを決めました。


■ 1年半の開発期間、試行錯誤を経て、「鉄人おはぎ」が完成

鉄人おはぎ
青木屋 社長補佐兼マーケティングアドバイザー 三木 学

――その後、どのような商品開発のプロセスを経ていったのでしょうか?

三木:博報堂プロダクツの方と初めてお会いした時に、従来の青木屋でのアイデアの発想方法についてお話ししたのですが、それを踏まえて次回の打ち合わせの際に、「生活者の気持ちから発想」「イメージの連想からの発想」「ストーリーからの発想」という3つの発想法をご提案いただきました。これまでになかった視点をいただき、新たな可能性にとてもワクワクしたのを覚えています。そこから実際の商品のイメージも含めてディスカッションを重ねていきました。

――コピーライターである三浦さんはディスカッションを踏まえて、どのようなアプローチでコピーの考案をされたのですか?

三浦:青木屋さんでは「伝統と挑戦」を大切にされているというお話を伺いましたので、和菓子の伝統を守りながらも、どこか新しかったりモダンであったり、今の時代に愛される商品とはどのようなものかを考えていきました。青木屋さんの歴史や商品情報を調べる一方で、今の世の中でどんなものが求められているのか、どんなニーズが眠っているのかについてもリサーチして、それらを両立できるような商品のネーミングを考えていきました。商品名からコンセプトが理解していただけるものをめざし、青木屋さんと一緒に取り組ませていただきました。

三木:その中で一次選定候補として挙がったのが、「リカバリー(回復)フード」や「おはぎBAR」、アスリートフード「プロテインおはぎ」などでした。これらのアイデアが最終的に新商品の「鉄人おはぎ」につながっていきましたね。

――三浦さんは、どのような発想から「鉄人おはぎ」というネーミングを考えられたのですか?

三浦:最近は女性でも筋トレをしている人が増えていますが、アスリートやスポーツを趣味としている人だけではなく、受験生が勉強の合間に手軽に食べられることで、エネルギーがチャージされて強くなれるようなイメージを持たせられたらと。そこに、比喩表現としての「鉄人」を使ってみようと考えました。

多久島:提案を受け、試行錯誤しながら試作品を作ってみたのですが、私どもの商品は基本的に機械製造ですので、技術的な問題から現実的ではない案も多くありました。実際に商品に仕立てる難しさを感じましたが、三浦さんたちに実際に工場を見ていただくなどして、実現可能なラインをすり合わせていきました。

――最終的に「鉄人おはぎ」が新商品となった経緯を教えていただけますか?

多久島:三浦さんから「鉄人おはぎ」というネーミングを提案いただいたタイミングで、弊社と同じ府中を拠点とするサントリーのラグビーチーム「サンゴリアス」から、おはぎの注文をいただいたんです。「何に使うのだろう?」と不思議に思い、チームの栄養士の方に詳細を尋ねてみたところ、選手たちのリカバリーフードとして利用するということでした。その時、おはぎには新しい可能性があることを知り、「鉄人おはぎ」に結びついていきました。ラグビー選手は、まさに鉄人の代表ですから。
栄養士の方には、選手はどんなタイミングで召し上がるのか、どんな召し上がり方をしているのか、おはぎに含まれる栄養素は身体にどのような効能があるのかなどを詳しくインタビューさせていただいて情報収集を行いました。その流れから、栄養士の方にはアドバイザーとして商品開発にも関わっていただきました。

――「鉄人おはぎ」の特徴を教えていただけますか?

多久島:おはぎに使われている餡の原料である小豆は、そもそも低脂質・高タンパクで知られています。加えて、「鉄人おはぎ」にはポリフェノールやビタミンが豊富な黒米と赤米をブレンドした原材料を使用しています。そこに至るまでに、スーパーフードと呼ばれるキヌアなどを使って試作を重ねたのですが、青木屋の商品としてお客様に親しんでいただける味にたどり着くには時間がかかりました。三浦さんにも試作品を食べていただきましたよね。

三浦:はい。素材を並べていただいて、「これはキヌアを使っている」などとご説明していただきながら食べた記憶があります。ずいぶん試行錯誤されましたよね。

多久島:そうなんです。結果的に黒米と赤米を使うことになりましたが、硬い素材なので、どうやって蒸すといいのか、おいしく仕上げるにはどうしたらいいのかと、製造担当者がかなり苦労した末に製法を編み出しました。最初のご提案から1年半の月日を費やし、ついに「鉄人おはぎ」が誕生したのです。



■ 「鉄人おはぎ」は従来商品にはない、新しい価値の提案

鉄人おはぎ
青木屋 代表取締役 多久島 治

――「鉄人おはぎ」は、どのような購買層を考えているのでしょうか?

多久島:それこそプロのアスリートからウォーキングを楽しまれているシニアの方まで、この商品にはとても幅広い購買層があると考えています。府中市は「スポーツタウン府中」という理念を掲げ、スポーツの推進に力を入れていますので、例えばマラソン大会などでサンプリングを行いながら、青木屋の新商品としての「鉄人おはぎ」を多くの人に知っていただきたいと思っています。これまでは嗜好品としてのお菓子を販売してきたわけですが、「鉄人おはぎ」はエネルギー補給や機能面を取り入れた商品で、私どもにとって新しい価値の提案になります。この商品にどのような可能性があるのかを探りながら成長させていきたいです。三浦さんには素晴らしい商品名とコンセプトを考えていただき感謝しています。

三浦:こちらこそありがとうございました。私にとって青木屋さんとの取り組みは本当に楽しい時間でした。商品開発の上流から関わる経験はこれまでなかったので、メーカーの方の目線を知ることができ、大変勉強になりました。しかも、こんな素敵な商品が完成して、とてもうれしく思っています。またご一緒に何かを作り上げることができればうれしいです。

鉄人おはぎ


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